今、Web広告は「効率の時代」から「試行錯誤の時代」へ
コロナ禍の頃まで、Web広告といえば「即効性があり、費用対効果も高い」というイメージが一般的でした。リスティング広告やSNS広告を出せば、短期間で目に見える成果が出る。広告主にとってはまさに“打てば響く”時代だったといえるでしょう。
しかし最近は、その状況が大きく変わってきています。多くの宣伝担当者が「以前ほど効果を感じない」「コストばかり増えている」と口にするのは、決して一部の話ではありません。では、一体何が起きているのでしょうか?
クリック単価(CPC)の上昇という現実
Web広告市場は年々競争が激しくなり、同じキーワードやオーディエンスを狙う広告主が増えています。その結果、クリック単価(CPC)は年々上昇。数年前に比べ、同じ予算でも獲得できるクリック数が減り、「投下した金額に対して期待する成果が得られにくい」構造になっているのです。
これは、リスティング広告だけでなくSNS広告でも同じ傾向が見られます。
広告疲れとユーザーの目の慣れ
さらに、ユーザーの目線から見ても変化があります。コロナ禍以降、SNSやWeb上の広告量は急増しました。毎日のように目にする同じような表現やクリエイティブに、人々は次第に反応しなくなってきています。
「広告を出してもクリック率が伸びない」「反応が薄い」という現象は、広告疲れによるものです。もはや“出せば当たる”時代ではなくなっています。
ターゲティングの難しさと限界
Web広告の強みとされてきたのが、精緻なターゲティング。しかしここにも課題があります。ターゲットを絞りすぎるとリーチが極端に小さくなり、絞らなければ無駄な表示やクリックが増える。さらに近年はプライバシー規制の強化もあり、従来のようなデータに頼った精密な配信が難しくなってきています。
「データがあるからこそ精度が高い」というWeb広告の前提が揺らぎ始めているのです。
不正クリックやボットによるリスク
あまり表には出ませんが、アドフラウド(不正クリック・不正表示)も深刻化しています。ボットによるクリックで広告費が消化され、実際には成果につながらないケースも少なくありません。担当者の方にとっては「お金は動いているのに、実際の数字と感覚が噛み合わない」という不信感につながりやすいポイントです。
まとめ:Web広告はいま「再考の時代」
このように、
- クリック単価の上昇
- 広告疲れによる効果の鈍化
- ターゲティングの難化
- 不正クリックのリスク
といった要因が重なり、Web広告は「出せば効果が見える」時代から「戦略と工夫がなければ成果が見えにくい」時代に移りつつあります。
つまり、今のWeb広告は「効率の時代」を過ぎ、「再考の時代」に入ったといえるでしょう。宣伝担当者や責任者にとって大切なのは、単に広告費を投下するのではなく、現状を正しく理解し、どのようにマーケティング全体を組み立て直すかを見直すことです。